かわべそうこのCurious Heart 

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お会いしてみたい作家~柚木麻子と山内マリコ~

今、日本にはすごい才能の女性作家がたくさんいる。昔は、夏目漱石太宰治芥川龍之介など男性作家が台頭し、女性作家といえば樋口一葉だとかちょっとしかいなかった。そもそも男性作家でも、今挙げたような文豪というのはたしかに文豪だけど、小説を書いて生活できたのは一握りの人だったというのもある。

 

それに比べると、今の時代は、女性作家の発信力がエネルギッシュで彼女達の作品を読むと、あ、もうわたしが書く必要もないかもって正直思うことがある。彼女達の作品をは、様々な人生における葛藤の叫びを代弁してくれているし、それ以上に小説の世界がぶっ飛んでいて、あふれるリアリティと想像力の豊かさに、音楽で例えるなら”ロック”を聴いてがーんと頭殴られたような衝撃を受けるのだ。

 

わたしも、昔から”歯に衣着せぬ”感じの発言が気持ちいい、と人に褒められたことがあるけれど、あたしなんか足元にも及びません、と全力謙遜したくなるのが、柚木麻子さんと山内マリコさん。このお二方の小説を立て続けに読んだが、とにかくすごいさらけ出しっぷりに感嘆のため息が出た。

 

奥様はクレイジーフルーツ (文春文庫)

柚木麻子の小説はどれも大好きなんだけど、夫婦のセックスレスについて書かれたこの小説は、超絶ぶっ飛んでいた。わたしも、ママ友とかと話すときは、NGネタはないよ、というのが自慢なくらい夜の質問も答えられるくらい得意だけど、柚木先生にはかないませんでした。この「奥様はクレージーフルーツ」は夫婦関係の赤裸々さが小説という形として、見事にエンターテイメント化され面白かった!こんな小説は私にはとても描けない。でも、嫌らしさが全くなくて、セックスがこんなに明るく描かれていて、読後はさわやか。そこがとてもいいのだ。

 

あのこは貴族 (集英社文庫)

そして、山内マリコ『あの子は貴族』このタイトル!憎い!私も”前世は貴族だったと思うの”というセリフを言うような主人公の小説を書こうとして書き上げていなかったけど、完全に先越されたわ。しかも、完全に見事なくらい日本にいるふわふわした富裕層(ブルジョワ)の子供達(大人になっても)の鈍感さを言い表していて、歯に衣着せぬどころか、そうそう、それ!なんか違和感を感じながら付き合ってきた裕福な彼女達に対するイラっと感、なるほど、と妙に納得してすごく自分の中にすとんと腑に落ちた。それに、一人のそういう”ふわふわした”女性の成長と苦悩を描いているから自分の周りの人間関係に重ねて、ああ、こういうふうに客観視してみるとどんな人のことも認められるような寛大な自分になれそうって新たな発見までできた。

 

柚木麻子さん、山内マリコさん、わたしと同世代だと思うけど、もう大尊敬です。

そんなお二方にお会いできるようなトークイベントないかとネット検索したら、けっこうお二人揃ってやられていたようで。さすがだわ…

彼女達の脳みそはどうなっているんだろう、すごいアドレナリン出まくっているんだろうな、と予想する。すごい女性作家が日本にはたくさんいる。誇りでもあり、その中で生き残っていくのも大変なのだろうな、とこれから小説家デビューしたい方には厳しい時代でもあるなぁとつくづく思うのであった。